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2025/11/29 (Sat) 13:56:43

日米株、AI集中で乱調 日経平均「値動き1000円超」が頻発 安定へ裾野拡大課題 建設や銀行に注目

 日米株式市場で相場変動の荒さが目立つ。人工知能(AI)関連株にマネーが集中し、一部の銘柄の値動きが相場全体に影響を及ぼしやすくなっている。上昇が続いた日経平均株価は11月に月間で下落に転じた。
 建設や金融など、AI関連以外で買われる銘柄も出ている。相場の安定には投資マネーの流入先の広がりが必要となる。
 28日の日経平均終値は前日比86円(0.2%)高い5万0253円だった。11月は月間で2157円(4%)下がった。下落はトランプ関税の発動を控え、世界的に景気や企業業績の悪化が懸念された3月以来。
 日経平均は10月末に5万2411円の最高値を付けたあと、11月19日には4万8537円まで下がった。11月の値幅は2959円。10月に記録した過去最大の値幅(7860円)に及ばないものの、1日の値動きが1000円を超える日が5日あった。トランプ関税で乱高下した4月(6日)に続く多さだ。
 米国株も11月は調整色が強かった。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は18日にかけ4営業日で200以上下落し、同期間として4月以来の下げ幅となった。
 背景にあるのが、一部のAI関連銘柄へのマネーの集中だ。
 日経平均でみると、2024年末から25年10月末までの上げ幅(1万2516円)のうち、ソフトバンクグループ(SBG)、アドバンテスト、東京エレクトロンの3銘柄の寄与額は8000円を超え、上昇額の67%を占める。
 米株式市場でも、半導体大手エヌビディアやアルファベットといった巨大テック7社「マグニフィセント7(M7)」の株高が指数の急ピッチな上昇を演出した。米S&P500種株価指数の構成銘柄の合計時価総額は同期間で約8兆5000億ドル増え、このうち約半分はM7の増額分だった。
 データ収集や解析などにAIを活用することで産業の省力化・効率化が進み、経済成長に寄与するとの期待は根強い。
 IT(情報技術)インフラのあり方を一変させる技術革新との見方もあり、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)や半導体メーカーなどに資金が突出して流入する構図になっている。
 こうしたマネーの偏在により、短期的な過熱感を通した株高の反動が生じやすい。エヌビディアの株価は、10月末の最高値から1カ月弱で2割下落した。9月に株価が1日に4割超上昇した米オラクルも、11月の下落率は2割を超える。日本でもSBGの株価は10月末の最高値から、1カ月足らずで5割近く下げる場面があった。
 物色の対象はAI関連以外にも広がってきた。例えば建設株だ。清水建設株は13日、一時2516円まで上昇し1989年12月に付けた最高値(2510円)を約36年ぶりに上回った。その後も高値の更新が続く。鹿島も5日、36年半ぶりに最高値をつけた。
 人手不足を背景に選別受注を徹底し、工事単価の引き上げが進む。モルガン・スタンレーMUFG証券の八木亮株式アナリストは「建築マージン(利幅)の改善傾向は30年3月期まで続く」とし、建設大手の株価がさらに上向くとみる。
 銀行株の強さも目を引く。1月に上場来高値を更新した三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)はその後も水準を切り上げ、27日に2471円50銭と最高値を付けた。三井住友FGも同日まで連日で高値を更新した。
 長期金利の上昇が貸し出し利ざやの改善につながる。不採算事業の見直しや店舗数の削減など収益基盤の強化も利益を伸ばす要因となる。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネージャーは「企業の設備投資意欲は高く、資金需要の拡大が銀行の収益を押し上げている」と語る。
 東証プライム市場全体でみると、25年に最高値を更新した銘柄は28日時点で約400社。日経平均が過去最高水準にあっても、最高値の銘柄は全体の25%にとどまる。息の長い上昇には、株高の裾野がさらに広がることが条件になる。


オープンAI、企業価値25倍 チャットGPT公開3年 強気投資、経営ひずみも

 【シリコンバレー=山田遼太郎】米オープンAIが対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を公開して30日で3年を迎える。利用者は8億人、企業価値は公開前の25倍の約78兆円と世界最大のスタートアップに成長した。投資回収の明確な道筋を描けぬまま、2033年までに売上高の70倍にあたる約220兆円と空前の投資で賭けに出る。
 「AIが科学を進歩させるのはもはや遠い未来ではない。難病の治療などに役立つAIをできる限り早く世界に届けたい」。サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は11月にこう述べ、AIの進化を早めるために投資を加速すると説明した。
 オープンAIは2015年に人間並みに賢い「AGI(汎用人工知能)」の実現を目指す純粋な研究機関として発足した。ロボットやゲームなど幅広くAIの使い道を探り、話し言葉を操り文章を生成する「大規模言語モデル(LLM)」の進化に着目した。これを実験的に世に問うため22年11月、チャットGPTを公開した。
 その後の成長は驚異的だ。わずか3年で無名の組織から世界最大のスタートアップに変貌した。チャットGPTは歴代ネットサービスで最速のペースで利用者が増え、世界で毎週8億人が使う。企業価値は5000億ドル(約78兆円)と、上場企業の時価総額と比べると日本で最大のトヨタ自動車や米動画配信のネットフリックスをも上回る。
 消費者向けAIサービスの代名詞となった。日本では「チャッピー」の愛称が付き、若者の相談相手となるなど利用が進んだ。アルトマン氏は年換算売上高が年内に200億ドルに届くと話す。
 だが経営は大幅な赤字が続く。月20ドルが中心の有料サービスを提供する一方で利用者の95%を無料会員が占める。AIの性能を高めるには半導体やクラウドを大量に使う必要があり、研究開発への投資がかさむ。25年はフリーキャッシュフロー(純現金収支)が85億ドルの赤字と見込まれている。
 米巨大テックがこぞって参戦する開発競争を勝ち抜くため、今後8年で1兆4000億ドル(約220兆円)を開発インフラのデータセンターなどに投資すると打ち出した。足元の売上高の70倍と巨額だ。手元資金が乏しい新興企業でありながら、年平均でみると米グーグルの今期設備投資のおよそ2倍を投じる計算になる。
 資金不足を補うため提携先を広げた。19年から支援を受ける米マイクロソフトに加え、ソフトバンクグループ(SBG)や米半導体大手エヌビディアと関係を深めた。オープンAIとエヌビディアの間を多額の資金が循環する取引の構図はAIへの過剰投資の懸念を招いている。
 アルトマン氏は「収益化は心配ごとの10番目にも入っていない」と話す。その一方で10月、オープンAIの財務状況に懐疑的な投資家に対し「痛い目を見ればいい」と挑発的な発言をした。足元でグーグルからAIの性能で追い上げられ、アルトマン氏には投資回収の道筋を示すプレッシャーが強まっている。
 オープンAIはグーグルへの対抗から利潤を追わないNPOとして始まり、組織再編を経て通常のテック企業に近い経営体制になった。商業主義へ傾倒するなか、AI普及に伴う弊害が目立っている。
 AIへの精神的依存が社会問題になり、オープンAIはチャットGPTとの会話を原因とする5件の自殺で提訴を受けている。動画AIのアプリ「Sora(ソラ)」では著作権を軽視したいたずら動画を氾濫させる企業姿勢が問題視された。
 「AGIの恩恵を全人類にもたらす」。崇高な使命と利他の精神に共感して集まったAI研究者の多くはすでにオープンAIを去った。アルトマン氏は10年以内に人知をしのぐ「超知能」の到来を見据える。雇用などAIの影響が社会に広がるなか、オープンAIは理念に忠実でいられるかが問われている。

  グーグルなど競合猛追 成長持続へ高まるハードル

 オープンAIは10月に営利企業を中核とする組織再編を終え、マイクロソフトが27%、NPOが26%、SBGが約11%とする資本構成が固まった。10月には複数の米メディアが、早ければ27年の新規株式公開(IPO)を目指していると伝えた。上場時の時価総額は1兆ドル規模を想定しているという。
 高い評価額はオープンAIの成長持続が前提だ。ただ足元で生成AIのリーダー企業としての地位に揺らぎが見え始めた。米調査会社アップトピアの推計では、米国のユーザーの平均1日あたり使用時間は7月をピークに減少に転じ、11月中旬時点で20分と7分ほど短くなった。
 競合の追い上げは激しさを増す。グーグルが18日に発表した新型のAI「Gemini(ジェミニ)3」はオープンAIの最新モデル「GPT―5.1」を超える性能を実現したとの見方が広がる。収益性と利用者基盤を持つグーグルが巻き返し、対話型AIの普及で先行逃げ切りを図るオープンAIのシナリオに綻びがでてきた。
 プログラミングが強みの「クロード」を開発する米アンソロピックは企業向けのAI提供に特化し、オープンAIを収益性で上回る。アルトマン氏に対抗意識を燃やすイーロン・マスク氏の米xAI(エックスエーアイ)やマーク・ザッカーバーグ氏の米メタも投資拡大や人材引き抜きで猛追する。
 お金をかけるほどAIの性能が高まるという見立てに基づき、世界のAIデータセンター投資額は27年にも年間1兆ドルに迫る。AIが鉄道やインターネットといった過去の産業ブームに匹敵する規模となり、オープンAIは未曽有の規模の投資を回収しつつ、重みを増す社会責任に応えるハードルは高まっている。

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