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2025/08/19 (Tue) 09:02:29

2カ月で2倍 ソフトバンクG巡る3つの熱狂と2つの不安(永井洋一)

 8292円が1万6520円――。ソフトバンクグループ(SBG)の株価が8月15日までのわずか2カ月で2倍になった。バブルを思わせる急騰の背景には3つの熱狂と2つの不安がある。人工超知能(ASI)時代の主役にならんと野望を抱く孫正義会長兼社長。その執念が良くも悪くもSBG株を大きく動かす大変動期に突入した。

 ◎熱狂1(オープンAIを巡る不透明な評価)

 「投資資産に占める米オープンAIの比率の上昇が株価のディスカウント解消につながる」。モルガン・スタンレーMUFG証券の津坂徹郎アナリストは12日、SBGの目標株価を従来の8000円から1万5000円へと一気に2倍近く引き上げた。
 7日の2025年4~6月期決算発表以降、アナリストの目標株価の上方修正が相次いでいる。2万円とする証券会社も現れた。市場関係者が浮足立っている。
 SBGはオープンAIを英アーム・ホールディングスとともに「群戦略」の核と位置づける。オープンAIが25年内に調達する総額400億ドル(約6兆円)の内、4~6月期に75億ドル出資し、追加で10~12月期に225億ドル実行する。出資の前提条件であるオープンAIの企業価値評価額(ポストマネー、上場株の時価総額に相当)はいずれも3000億ドルだ。
 その評価がSBGの株価に直結する。オープンAIはSBGが主導する400億ドルの調達計画とは別に、従業員らが保有する約60億ドル相当の株式を企業価値5000億ドルを前提とした株価でSBGを含む投資家グループに売却する計画があると米ブルームバーグ通信が最近伝えた。事実なら評価額は数カ月で1.7倍に跳ね上がったことになる。当然、SBGの株価も急騰した。
 こうしたオープンAIの自己評価は適正なのか。英フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、売上高の指標の一つである年間経常収益(ARR)は25年が200億ドル超。企業価値が3000億ドルなら「企業価値・ARR倍率」は15倍、5000億ドルなら25倍だ。
 FTはオープンAIと競合する米アンソロピックが50億ドル調達する計画だとも伝えている。その「企業価値・ARR倍率」は40倍を超えるとみられる。単純比較はできないが、エヌビディアの株価売上高倍率(PSR)は22倍、メタは10倍だ。
 こうしたデータを並べるとオープンAIの評価は必ずしも高すぎるとはいえない。ただしその数字はバランスシートが公開されていない未上場企業にありがちな「言い値」だ。生成AI(人工知能)市場の競争が激しくなるなか、オープンAIのような課金ビジネスが長期的に成り立つかも不明だ。株式市場の雰囲気次第で評価は一変することを忘れてはいけない。

 ◎熱狂2(割安な株価)

 SBGの保有株式価値から純有利子負債を差し引いた「時価純資産(NAV)」は6月末で時価総額(自己株を除く)の2倍の32.4兆円だった。資産価値が見直されれば、株価の割安修正が進むのは当然だ。ただし、NAVに対する時価総額のディスカウント率は15日時点で2割強まで縮小したとみられる。割安感は急速に薄れている。

 ◎熱狂3(投機マネーの影)

 株式の需給要因もSBGの急騰に一役買っている。過熱感による反落を見込む投資家や、SBGのコールオプションを販売した証券会社によるヘッジ需要などにより過去2カ月でSBGの空売りは約3.5倍に急増した。当然、空売り勢の評価損は膨らんでいる。
 21年に市場を騒がせた米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントのように、空売りが多い銘柄を買い上げ、空売り勢の買い戻しによる株価急騰(踏み上げ)を狙うやり方はヘッジファンドの常とう手段だ。イオンや西武ホールディングス、フジクラなど空売りが膨らんでいる銘柄の上昇が最近、目立つのが傍証だ。SBGは時価総額が大きい割に浮動株が少ないため、市場流動性リスクが相対的に高く、株価変動が激しくなりやすい。

 ◎不安1(コアウィーブショック)

 株価が上がったからといって「SBGのAI投資は高値づかみで終わるのではないか」という疑念が完全に解消された訳ではない。むしろ不安は高まっている面もある。
 オープンAIを主要顧客とするAI向けクラウドサービスの米コアウィーブの株価が13、14の2日間で3割以上、急落した。12日発表の25年12月期の売上高見通しが市場予想を下回り、失望を買った。
 コアウィーブの4~6月期の売上高は12.1億ドル、売上高の未入金分である売上債権はその1.6倍の19.3億ドル、最終損益は2.9億ドルの赤字だった。一般にこうした状況で売上高が減ると、資金繰りが苦しくなる。
 同社は3月に上場したばかりだが、同社の取締役であるジャック・コーゲン氏もロックアップ期間終了を待って400万株(約4億ドル)売却した。
 「エヌビディアの息子」とも言われるコアウィーブは、生成AIビジネスの将来を占う試金石のひとつだ。エヌビディアは同社に多額の出資をし、画像処理半導体(GPU)も優先的に供給しているとされる。
 一方でコアウィーブが手掛けるGPUの貸し出しサービスは多額の資本を必要とし、マイクロソフトなど少数顧客への依存や競争激化という脆弱性を抱えている。コアウィーブの変調を市場は軽視している傾向がある点には注意が必要だ。

 ◎不安2(遅れるスターゲート計画)

 SBGが1月に発表した米国に5000億ドルを投じるAIインフラ投資計画「スターゲート」も目立った進捗はみられない。資金調達の不透明性や技術的な問題、競争環境の激化や政治リスクといった多くの課題がネックとなり、利用しようという企業が思うようには広がっていないとみられる。
 孫氏の執念が急騰をもたらし、そのこだわりで急落する。熱狂と不安が表裏一体なのがSBG株の本性だ。生成AIが放つ光と影がSBG株に乱反射する場面が増えるのは確実だ。
 〔日経QUICKニュース(NQN)編集委員 永井洋一〕

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2025/08/19 (Tue) 09:03:05

株、一時400円高で最高値上回る 「PBR1.6倍の壁」に3度目の挑戦

 18日午前の東京株式市場で日経平均株価は前週末比379円(0.87%)高の4万3757円となり、15日につけた史上最高値(4万3378円)を上回った。日経平均ベースのPBR(株価純資産倍率)は2024年の天井となっていた1.6倍に迫り、市場の株高目線が続いている。押し目買いの好機が訪れず、市場参加者は相対的に割安感のある銘柄に物色を広げている。
 前週末比の上げ幅は一時400円を超えて4万3800円に近づく場面があった。前週に日経平均は相次いで最高値を更新していたため、週明けは上値が重くなるとの見方が多かった。相場の意外な強さに市場関係者からは驚きの声があがった。東海東京インテリジェンス・ラボの沢田遼太郎シニアアナリストは「相場全体としては目立った材料がないのに買いのエネルギーは妙に強い」と話す。
 18日の上昇をけん引した銘柄の顔ぶれはいつもと違った。東京エレクトロンは1%安、ソニーグループは2%安と下げ、日本株の主力とされる半導体や電気機械関連の勢いはない。日銀の利上げ期待で先週に上昇が大きかった銀行株も下げが大きかった。
 半面、小売りや自動車など、それ以外のセクターが幅広く買われて相場全体を支えた。
 7月下旬に日米の関税交渉が合意し、日本株は上昇基調を強めてきた。買い遅れていた投資家を中心に、売買が減少し相場が低迷するお盆のタイミングを買い場として期待していた投資家は多かった。ただ今年はお盆のさなかも最高値更新が相次ぎ、「十分に持ち高を作れていなかった投資家は相対的に割安感のある銘柄を探している」(岩井コスモ証券の嶋田和昭チーフストラテジスト)。
 米国景気でも目立った減速は見られず、米国株指数でも最高値更新が続く。三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは「日本国内もインフレが定着しつつある中では、高めに見える市場の業績期待も正当化できるようになってきた」と指摘。買い場を待つことのリスクを投資家は感じ始めているとみる。
 急ピッチの株高で株価のバリュエーション(投資尺度)は24年のピークを越えている。日経平均の構成銘柄のPBRの平均は足元で1.58倍で、24年の3月と7月につけた1.57倍を上回った。
 みずほ証券の中村克彦マーケットストラテジストは出遅れを探す物色は既に日本株の隅々まで広がっているとしつつ「市場はPBRの1.6倍超えも『This time is different(今回は違う)』と見始めている可能性がある」と指摘する。自社株買いや買い遅れていた投資家の買いが断続的に入る一方で、高値警戒感以外の明確な売り材料は乏しい。
 堅調な相場は続くのか。みずほ証券の中村氏は「日本株の売買金額が高水準を維持できるかどうかが鍵を握る」と分析する。足元でプライム市場の売買金額の合計(直近20日平均)は5.2兆円と増加が続いているが、海外勢が手を引くなど売買金額が減少すれば相場の盛り上がりが一服する可能性があるという。
 PBRでみれば独DAXは1.7倍、米S&P500種株価指数は4倍台と、日本株は海外と比べてまだまだ割安だ。割安評価が長年定着してきた日本株が1.6倍を超えるバリュエーションを定着させられるか正念場を迎えている。
 (犬嶋瑛、佐藤恵里菜)

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