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2025/07/29 (Tue) 09:37:58

オルツ粉飾「経営陣が関与」 第三者委報告、社長は辞任 監査法人・VCも見逃す(ビジネスTODAY)

 人工知能(AI)開発のオルツは28日、第三者委員会による調査報告書を公開した。売上高の過大計上による影響額は約119億円にのぼる。同委員会は「極めて不適切な行為。強い非難に値する」とし、経営陣の主体的な関与を指摘した。米倉千貴社長(48)は同日付で辞任した。監査法人やベンチャーキャピタル(VC)も粉飾決算を見逃したとされ、新興市場の上場審査の信頼性が揺さぶられている。
 米倉氏の後任に、日置友輔・最高財務責任者(CFO、34)が就任する。第三者委の調査結果によれば過大計上による水増し額は最大で公表した売上高の9割にのぼり、日置氏も不正会計に関与していたと指摘する。
 米倉氏は「決算の内容を大幅に修正せざるを得ない状況に至ったことを踏まえ、辞任すべきであると判断した」とコメントした。日置氏は「自身の進退を含めた抜本的な組織改革を早急に進める」としており、暫定的な社長就任となる可能性が高い。
 今回公表した報告書では、循環取引の手口や経営状況が明らかになった。オルツは広告宣伝費として広告代理店4社に約138億円、研究開発費として事業者2社に約16億円を支出。その後、広告代理店を経由して「スーパーパートナー(SP)」と呼ばれる販売業者から架空の売上代金を回収する「循環取引」をしていた。
 こうした経営手法に頼る一方、主力サービスで稼げていなかったという実態が浮かび上がる。オルツはサブスクリプション(継続課金)型で議事録サービス「AI GIJIROKU」を提供し、2024年12月時点で有料会員数は2万8699件としていた。今回の報告書によれば8万4615件のアカウント数のうち、有料会員数は5170件にとどまり大半が無料会員だった。
 オルツの会計監査を22年まで担当していた監査法人は循環取引を指摘していたが、現任の中小監査法人のシドーに交代以降、オルツ側が示した広告宣伝費の発注書などを受けて循環取引を認識できなかった。第三者委は当初担当していた監査法人の社名を明らかにしていないが、大手監査法人の1社とみられる。
 オルツ株は28日、値幅制限の下限(ストップ安水準)となる前週末比30円(33%)安の60円まで下げた。オルツは東京証券取引所から、有価証券報告書の虚偽記載や新規上場申請における宣誓事項に重大な違反を行った恐れがあるとして、上場廃止基準に抵触する恐れがある「監理銘柄(審査中)」に指定された。
 オルツは24年10月に東証グロース市場に上場したばかり。新規株式公開(IPO)時に東証などを通じて市場に公開した決算数値のほとんどが虚偽だったことになる。報告書ではオルツが「適切な外形を取り繕うかの対応に及んだ」と指摘し、「資本調達の円滑性にも悪影響を及ぼす。誠に遺憾」と踏み込んだ。
 主幹事の大和証券は「一般論として、主幹事を務めた案件については適切な審査手続きを行っていると認識している。依頼があれば各種調査に協力する」としている。
 日置 友輔氏(ひおき・ゆうすけ)京大大学院修了、2016年モルガン・スタンレー・ビジネス・グループ入社。21年にオルツCFO。大阪府出身。34歳

  新興、問われる上場審査

 オルツを巡って焦点となるのが新興企業の上場審査への影響だ。業界全体で監査の担い手不足が指摘される中、リスクのある新興企業に対してどこまで深度ある監査を実施できるかが課題だ。
 特に「SaaS」と呼ぶクラウドサービスは取引の実態がつかみづらく、契約書などの書類が整っていても監査で発見できないリスクがある。
 会計や監査に詳しい青山学院大学名誉教授の八田進二氏は「売上収益実現を監査することは一丁目一番地。経営者の資質を見抜く内部統制監査も重要だ」と話す。大手監査法人のパートナーは「オルツのほかにもこうした事例が潜んでいる可能性がある」と指摘する。特に資金や人材が乏しい中小法人は「十分かつ適切な監査が実施できない可能性がある」とみる。
 VCのあり方も問われそうだ。オルツに出資しているVC大手のジャフコグループは「法的責任はない」と説明している。一方、オルツには出資していない別の大手VCは「オルツ問題の発生以前から複数の投資先で業績の虚偽報告があった」とし、決算書を独自に検証する対策を始めた。
 半導体製造装置を手がけるエフオーアイは2009年に東証マザーズに上場後、売上高の97%の架空計上が判明し、10年に上場廃止となった。
 オルツの上場直後の24年10月に株を購入した40代男性会社員は「幹事となった証券会社や取引所は見抜けなかったのか」と憤りをあらわにした。
 東証は4月、スタートアップが上場するグロース市場に関し、2030年以降に上場維持基準を「上場5年経過後は時価総額100億円以上」とする案を示した。グロース上場企業の質を高め、海外投資家からも投資を引き出せるような魅力ある市場をめざす狙いだが、オルツの騒動は一連の改革にも逆行しかねない。(大西綾、貴島逸斗)

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