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2025/07/18 (Fri) 08:29:58

三菱商事、サーモン養殖で世界2位に浮上 北欧大手を1450億円で買収

 三菱商事は17日、ノルウェーのサーモン養殖会社を買収すると発表した。買収で生産量は2割強増え、世界4位から2位に浮上する。サーモンは必要な飼料量が少なく、環境負荷の低いたんぱく源として世界で需要が拡大している。主要産地が少なく供給拡大に制約があるなか、日本の食料安全保障もにらんで供給源を確保する。
 ノルウェーのサーモン養殖大手で完全子会社のセルマックを通じて10月をめどに、同国同業のグリーグ・シーフードから養殖事業3社の株式100%をそれぞれ買い取る。買収額は継承する負債などを含めて総額で約100億ノルウェークローネ(約1450億円)。
 買収の対象はノルウェー北部とカナダの東西両海岸の計3地域の養殖事業。年間生産量は約20万トンから25万トンに増え、ノルウェーのサルマールを抜いて世界2位に浮上する。生産効率の改善で27年度には年28万トンに増やす。日本勢では三井物産が世界8位のマルチエキスポート(チリ)の子会社に24.5%出資している。
 三菱商事が2014年に買収したセルマックは現在、ノルウェーとカナダ、チリの3カ国で養殖場を運営している。買収後の10年間で、ノルウェーなどで段階的に許可を取得して生産量を約1割増やしてきた。
 セルマックの販売先は欧州が40%、北米が30%、アジア20%、南米10%ほどで、今後も比率は大きく変わらない見通し。日本や東南アジア市場などへの販売も強化する。買収事業の純利益は27年度に100億円超を見込む。買収分を上乗せしてセルマックを中核とする水産事業の純利益は同年度に24年度比2.9倍の400億円以上を目指す。
 世界的な人口増加や新興国の経済発展に伴い、たんぱく質の需要は拡大している。サーモンは鶏や牛などの食肉と比べて生育に必要な飼料の量が3~8割ほど少なく、温暖化ガスの排出量も少ないタンパク源として注目される。
 調査会社のグローバルインフォメーションは世界のサーモンの市場規模が29年までに24年比1.5倍の493億ドル(約7兆3300億円)に拡大すると予想する。現在はスモークサーモンやグリルなどの食べ方が多いが、健康志向の高まりや日本食ブームから米欧など先進国でも生食が増え、牛や豚肉などの代替としても需要が伸びている。
 サーモンの世界生産は天然が約2割、養殖が約8割を占める。養殖は海水温が低く、波が低い国に適地が限定される。養殖の世界生産量で約3割を占めるチリでは大規模な生産ライセンスの新規発行がされておらず、約5割のノルウェーも2年に1回ほどだ。需要の伸びに対して供給が追いついておらず、権益の獲得が難しくなっている。
 需要拡大などから主要品目であるアトランティックサーモンの養殖品価格は過去20年で3倍に上昇した。「サーモンは代替できる商材がない」(業界関係者)といい、トランプ米大統領による施策でノルウェーとチリから対米輸出の関税が上がった後も、米国市場では両国産サーモンの販売動向は好調だという。
 もっとも養殖事業は販売価格の変動や病気などのリスクがあり、生産量のブレも大きい。三菱商事も買収以降、セルマックで3回の最終赤字を計上した。このため、同社は寄生虫を除去するレーザー装置の導入など病害対策も進めて収量を安定させてきた。安定的な生産体制の確保・継続に向けて買収先でも同様の対応をとる方針だ。

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