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日本株とドル円は「大天井」を付けたのか(永井洋一) - GeronimoMail URL

2024/04/19 (Fri) 10:48:33

 年初から大きく水準を切り上げてきた日本株が4月に入って崩れている。日経平均株価は2023年末の水準よりまだ13%高いが、ドル換算だと4%高にすぎない。市場関係者の大半は、中東情勢や米金利を理由に日本株は悪くないと強気姿勢を崩していないが、疑念も広がり始めている。
 「ダブルトップ」のように、チャート分析家にとってシンメトリー(左右対称)の折れ線グラフは凶兆だ。その悪いサインが2つの超長期のチャートに表れている。1つは日経平均株価、もう1つはドル円相場だ。見方によっては、日本株もドル円も壮大なダブルトップが進行中で、歴史的な「大天井」を形成しつつあるようにみえる。
 日経平均は1989年12月の高値(3万8915円)から2024年3月の高値(4万0888円)まで411カ月を要したが、チャートを描くと中間点である07年3月ごろを境に、シンメトリーとなっている。
 円相場は98年8月の安値(1ドル=147円20銭近辺)から24年4月の安値(154円78銭近辺)まで308カ月。そのほぼ中間点の11年10月(最高値の75円55銭近辺)ごろを境として、やはりシンメトリーだ。
   ざっくり言えば、11年までは「円高=株安」、12年以降は「円安=株高」という構図だ。その関係に最近、異変が起きている。円安にもかかわらず、株価は下がるようになった。同時に国債も売られ、株売り・国債売り・円売りのいわゆる「日本売り」が起きている。
 11年以降、最近まで「円安=株高」だったのは、金利が上がらなかったからだ。「円安=超低金利=株高」という3点セットだった。
 インフレ体質の経常赤字国のように、本来なら自国通貨が下落すれば金利が上がり、物価変動を考慮した実質株価も下落するはずだ。しかし日本は円安にもかかわらず物価が上がりにくく、金融政策で金利をがんじがらめに引き下げたため、実質株価は大幅に上昇した。
 円安と低金利というねじれた組み合わせは、日本の預金者からウォーレン・バフェット氏のような円を借りて資産運用する海外投資家への所得移転をうながした。しかし、金利が上がるようになると、そうしたメカニズムは機能しなくなる。
 円と株の組み合わせは4通りある。「円安=株高」、「円安=株安」、「円高=株安」、「円高=株高」だ。このうち、「円安=株高」の構図は、歴史的な役割を終えようとしている。財界も、いまの円安には否定的な声が多い。「円安=株安」は日本売りパターン。これは最悪だ。超長期のチャートが示唆するような「円高=株安」に転じれば、それはデフレへの逆戻りだ。願わくは「円高=株高」が望ましい。
 だが、相次ぐ企業不祥事の具体例を挙げるまでもなく、金融緩和の長期化で、企業経営の質は劣化し、日本製品の品質低下は著しい。東証株価指数(TOPIX)がバブルのピークを超えられないのは、そうしたわけもあるだろう。
 日本の資産を外国人にドルベースの高値で売るのならともかく、ドルベースの安値で切り売りするような政策は一刻も早く止めるべきだ。市場開設者が企業経営に介入し、PBR(株価純資産倍率)改革という名の財テクよろしくのバランスシート調整で見た目を飾ったところで、化けの皮はすぐはがれる。〔日経QUICKニュース(NQN)編集委員 永井洋一〕

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