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PBR1倍割れ1800社、東証が改善策の開示要請 - GeronimoMail URL

2023/03/31 (Fri) 09:44:39

PBR1倍割れ1800社、東証が改善策の開示要請

 東京証券取引所は、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る上場企業に対し、株価水準を引き上げるための具体策の開示を求める。直近で1倍割れは約1800社ある。企業に資本コストや株価を意識した経営を定着させる狙いがある。
 東証プライム市場と同スタンダード市場に上場する全約3300社に対し、資本コストや市場での評価を認識するよう要請する。特にPBRが1倍を下回る場合には、1倍を下回る要因の分析、改善のための具体策の開示といった十分な対応を求める。早ければ31日にも企業に通達する。開示は任意で形式などは問わない。
 30日の株価の終値ベースでPBRが1倍を割っている企業は約1800社。プライム市場とスタンダード市場に上場する企業の5割超にあたる。
 PBRが1倍を下回る場合、理論上は企業を解散して純資産を分配したほうが株主は多くを得られると市場が評価していることを示す。東証は1倍割れの企業が多いことに危機感を強めている。今回の要請に応じない企業への罰則はないが、企業の経営者に意識改革を促す。


低PBRどう改善?――みずほ信託銀行企業戦略開発部次長八木啓至氏に聞く、分析・投資家と対話がカギ

 東京証券取引所は低PBR(株価純資産倍率)の企業に対し改善策の開示を求める方針を示した。これが契機となり、企業は資本効率改善へ対応を迫られている。PBR改善に向け具体的に何が必要なのか。みずほ信託銀行の八木啓至企業戦略開発部次長に聞いた。

  まずはおさらい

 東京証券取引所は2023年春にも、株価が1株あたり純資産の何倍にあたるかを示すPBRが低い企業に対して改善策などの策定や開示を求める。PBRは1倍が「解散価値」とされ、これを下回る場合は事業継続より資産を処分して解散した方がいいことになる。株主価値を毀損している状態だ。

  もっと詳しく

 ――PBR改善が求められるようになった背景は。

 「以前からPBR1倍割れ問題は経済産業省の産業構造審議会の中などでも議論されてきたが、東証の方針は改善への強い動機付けとなっている。2022年4月に東証の市場区分が再編された。上場会社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を支え、国内外の多様な投資家から高い支持を得られる魅力的な市場を提供することが目的だった。ただ、実際はプライム市場に上場する企業の50%程度がPBR1倍割れとなっていた」
 「22年7月からは市場区分の見直しに関するフォローアップ会議が始まった。その中で各企業にPBRの改善を求める必要があるとの意見が多く出た。一連の議論を経て、東証は企業に『自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、改善に向けた方針や取り組み、進捗状況を開示すること』を要請するとした」
 ――東証の方針のポイントは何でしょうか。
 「今回求められている改善策の開示はプライム企業に限られたものではなくスタンダード企業も対象だ。東証はPBR改善以外にも経営陣と投資家の対話の状況や内容をガバナンス報告書に記載することを要請するなど様々な対応を公表している。総じて言えることは『企業に資本市場と向き合い対話してほしい』、『持続的な企業価値向上に今まで以上に取り組んでほしい』ということではないか」

 ――海外企業と比べたPBRの低さも指摘されています。

 「フォローアップ会議で公表された資料によるとプライム企業の50%、東証株価指数(TOPIX)500構成銘柄でも43%がPBRが1倍割れの状況だ。一方で米S&P500種株価指数では5%、欧州のストックス600では24%で、日本市場は特にPBR1倍割れ比率が高い。ROE8%未満の割合もプライム企業やTOPIX500が4~5割程度なのに対し、S&P500は1割、ストックス600は2割と日本企業のROEの低さが際立つ」
 ――そもそもなぜPBRが低いのでしょうか。資本効率の低さには構造的な理由があるのでしょうか。
 「PBR(時価総額÷自己資本)はROE(純利益÷自己資本)×PER(時価総額÷純利益)に分解される。資本効率を示す代表的な指標の1つであるROEが低いことが大きな要因となっていると考えられる。資本効率が低いとされる構造的な要因には企業の資本コストへの着意や、バランスシートへの意識が低いことがあるかもしれない。この点はフォローアップ会議でも再三指摘されている」

 ――PBR改善に有効な対策は。

 「PERは業界や企業特性に応じて一定のレンジ(割高・割安)が意識される。企業の自助努力だけで抜本的に向上させていくには相応のハードルがある。ROEが8%を超えるとROE上昇に伴ってPBRも1倍を超えて上昇するという分析結果もある。PBR1倍割れの企業にとってはROE向上に向けた取り組みの優先度が高いと考える」
 「ROEは純利益率(純利益÷売上高)×総資産回転率(売上高÷総資産)×財務レバレッジ(総資産÷自己資本)に分解される。それぞれの企業の状況に応じて各要素を向上させていく必要がある。例えば純利益率を向上させるには成長投資やコスト削減、保有資産の含み益実現などの策が考えられる」
 「総資産回転率を向上させるには資産のオフバランスが必要だ。遊休資産や不要資産を売却し、成長投資に充てていくことが求められる。財務レバレッジの向上には増配や自己株取得などの株主還元の拡充も欠かせない。一時的な指標の改善策だけでなく、中長期的な価値創造ストーリーに基づいて具体的な打ち手を計画的に講ずることが本格的に求められる」

 ――東証の方針を受けて企業からはどのような相談が増えていますか。

 「PBR1倍超えを目指すことをさっそく公表している先進的な企業もあるが、多くの企業はまだまだ情報収集を始めた段階のように感じる。具体的な相談を受けている企業については、その企業と同業他社の各種指標を比較し改善すべき点はどこかディスカッションをしている。所有する不動産の保有意義や株主還元の水準などに関する議論が多い印象だ」
 「相談件数は急増しており、23年2月は1月までと比べて3倍ほどになった。改善策の開示が進むと競合他社と比較されたり対応が不十分な場合は機関投資家に指摘されたりするようになる。そのため以前より切迫性は高まっている。実際にアクティビストが東証が改善を求めている点を引用して株主還元の強化や事業ポートフォリオの見直しを主張する例も出てきた」

 ――低PBR企業は具体的に何から手をつければよいのでしょうか。

 「自社の現状の分析が必要だ。同業他社比較をした上でPBRが低い要因がどこにあるか分析する。自社の事業戦略やバランスシートの状況からどのような対策を取れるか検討する。その上で中期経営計画やPBR改善計画を策定・公表して、機関投資家としっかり対話していくことが求められる。どのような点が評価・期待されているかや不足している点について対話する」
 「忘れてはならないのは、短期的な対応に陥ることなく中長期的な価値創造ストーリーを背景として骨太な戦略に基づいた対応を心がけることだ。自社のリソースが限られている企業は外部の機関の支援も得ながら、公表した計画をもとに投資家と対話し改善につなげるという、良い循環を作っていくことが必要になる」(聞き手は大道鏡花)

 やぎ・ひろし 同志社大法学部卒、2002年みずほ信託銀行入社。ファミリービジネスの事業承継や財務戦略・資本政策のコンサルティングに従事。東証市場改革に対応し、企業価値向上に取り組む企業の施策立案や実行支援に注力している。

Re: PBR1倍割れ1800社、東証が改善策の開示要請 - sirius URL

2023/03/31 (Fri) 15:12:37

何が良いですか?

Re: PBR1倍割れ1800社、東証が改善策の開示要請 - GeronimoMail URL

2023/03/31 (Fri) 15:22:34

岡三証券は例は参考になるのではないでしょうか。
ガバナンスがしっかりしたオーナー系企業は面白いのではないでしょうか。

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